相続発生前の『安全・あんしん』対策
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【相続税対策】
生前に行う相続税対策は「節税」と「納税対策」に分かれます。
節税とは相続税の納税額を圧縮することですが、そのやり方には、相続財産の評価額を下げる方法と、「贈与」のしくみを利用する方法の二つがあります。
相続財産の評価を下げるにはさまざまな方法があります。よく行われているのが、不動産評価額が高い更地にアパートを建てて不動産評価額の低い「貸家建付地」に変える方法です。非課税額がある生命保険の利用や、いろいろな「特例」の適用で節税になるケースもあるので、税理士など専門家のアドバイスを受けられることをおすすめします。
贈与については「贈与税は相続税よりも高い」という先入観は捨ててください。110万円を超える贈与には贈与税が課税されますが、たとえば毎年、少しづつ贈与を繰り返すと相続発生時の相続財産が減り、そのおかげで相続税が節税になった分が過去の贈与税の納税額を上回ることも、よくあります。贈与の工夫次第で、相続税額を下げられます。
節税とともに大事なのが、生前に相続税を納税する資金を確保しておく納税対策です。たとえば相続財産が自宅の不動産しかない場合、相続人は物納が認められなかった場合、愛着のある自宅を売却しなければ納税資金が用意できません。それを防ぐには、死亡保険に加入したり物納用の土地を買うなど、あらかじめ財源を手当てしておく必要があります。
【遺言の基礎知識】
相続の生前対策で最大の効果をあげられるのは「遺言」です。遺言書を作成して財産の分割方法を明記しておけば、完全にとは言えませんが、遺族の間の相続争いを防げます。
夫婦や兄弟など2名以上の人が共同で遺言することはできません。また、遺言はその人の能力が問われます。15歳未満の人や、病気や障害などで自分の判断や意思を示したり法律行為を行う能力を欠いている人は、遺言を残しても法律上有効ではありません。
遺言を2通以上残した場合、最新の日付と署名が入った遺言書だけが有効です。遺言書は何度でも書き直して内容を変えることができますが、書き直すとその前に書かれた遺言は全て無効になります。なお、遺言書の全部または一部を「撤回」することもできます。
遺言書を作成しても遺族の間の相続争いを完全には防げないのは、民法に「遺留分」の規定があるからです。これは、法定相続人が必ず相続できると保証されている最低限の相続分で、もし遺言で遺留分未満の財産しかもらえなかったら、1年以内に「遺留分の減殺請求」を行ってそれを取り戻すことができます。請求する相手は遺言でより多くの財産を相続できた人です。そのため、遺言で子の間で財産分割のアンバランスが生じたら、遺留分請求が争いの種になることがあります。
【贈与について】
「贈与」は、贈る人が財産を贈りたい人に「これを差し上げます」と意思表示し、相手が「いただきます」と受諾すれば成立します。贈与は原則として、金銭の受け渡しがない無償の行為です。
ところが、税法では金銭の受け渡しがある「売買」であっても贈与とみなす「みなし贈与」というものがあります。たとえば土地を時価よりも非常に安い価格で譲渡した場合、時価と譲渡価格との差額が贈与とみなされ、贈与税が課税されることがあります。
贈与により取得した財産に課税される税金が贈与税ですが、これは原則として個人間の贈与が対象で、法人と個人の間の贈与には課税されません。なお、扶養義務者からもらう生活費や教育費、香典、お歳暮、お見舞い、誕生祝いなど、社会通念上相当と認められるものには贈与税がかかりません。
贈与税の納税額は、1月1日から12月31日までの1年間に贈与で得た財産の合計額から基礎控除額110万円を引いた課税価格に税率をかけ、そこから控除額を差し引いて求めます。贈与で得た財産が年間110万円以下なら非課税ですが、申告は必要です。贈与税の申告は、2月1日から3月15日までの間に前年分の申告書に必要な書類を添付して、納税地の税務署に提出します。
贈与税額=(贈与財産の合計額-110万円)×税率-控除額
【一般贈与財産用】(一般税率) |
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この速算表は、「特例贈与財産用」に該当しない場合の贈与税の計算に使用します。 例えば、兄弟間の贈与、夫婦間の贈与、親から子への贈与で子が未成年者の場合などに使用します。 |
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基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | なし |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 |
「一般贈与財産用」は、次の「特例贈与財産用」にならないものの贈与税額の計算に使用する速算表です。
具体的には、例えば、①直系尊属(父母や祖父母など)以外の者から贈与を受けた場合(夫婦間や兄弟間の贈与)や②直系尊属からの贈与ではあるが、贈与を受けた年の1月1日現在において20歳未満の者の場合などが、これに該当します。
【特例贈与財産用】(特例税率) |
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この速算表は、直系尊属(祖父母や父母など)から、一定の年齢の者 (子・孫など)※への贈与税の計算に使用します。 ※「一定の年齢の者(子・孫など)」とは、贈与を受けた年の1月1日現在で20歳以上の直系卑属のことをいいます。 例えば、祖父から孫への贈与、父から子への贈与などに使用します。 (夫の父からの贈与等には使用できません) |
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基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | なし |
400万円以下 | 15% | 10万円 |
600万円以下 | 20% | 30万円 |
1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
4,500万円超 | 55% | 640万円 |
「特例贈与財産用」は、直系尊属(父母や祖父母など)から子・孫などの直系卑属の方(財産の贈与を受けた年の1月1日現在において20歳以上の者に限ります。)が贈与により財産を取得した場合の贈与税の計算に使用する速算表です。